ハナアブの幼虫は、自然界のリサイクルプロセスに欠かせない生き物で、有機物の分解を通じて土壌を豊かにする役割を果たしています。
その生態は特定の植物や木に依存しており、生息地も限定されていますが、地球の生態系バランスを維持する上で重要な存在です。
ハナアブとは？
ハナアブは双翅目ハナアブ科に属する昆虫の総称であり、刺すタイプのアブとは異なるグループに分類されます。
一時期、その名前を「アブバエ」に変更しようという提案もありましたが、これは広く受け入れられませんでした。
この昆虫はかつて「ショクガバエ科」とも呼ばれ、この名称はアブラムシを食べる習性に由来します。
英語圏では、ハナアブはHoverflyやFlower flyとして知られており、人を刺すアブ（Horse fly）とは明確に区別されています。
これらの昆虫の多くは、花に集まり蜜を吸うことが特徴で、黄色と黒の縞模様が腹部に見られるのが一般的です。
また、花に集まるハチとは異なり、ハナアブは羽が2枚しかない点で区別が可能です。
生態と特徴
- 成虫体長…14～15㎜
体色…頭・胸は黒褐色、腹部は黄赤色、腹部末端は黒色。 早春から晩秋にかけて活動する。 - 幼虫体長…20㎜
体色…黄褐色 - アブという名前がついているが分類上はイエバエ類に近く、吸血行動はしない。
- 成虫は体に縞模様があり、一見ミツバチに似ている。
- 成虫の翅は2枚で、透明・褐色斑を持つ。花に集まり、花蜜を吸うものや、花粉や樹液、腐食有機物の汁を食すものもいる。
- 幼虫は水生で尾端に長い呼吸管をもつのでオオナガウジと呼ばれている。排水溝や便池など汚水中に住み、腐食質を食べて育つ。
ハナアブ類にはどんな種類があるの？ハエとの違いは？
ハナアブ類は，ハエ目のグループです。
ハエ目は，触角が長いカ亜目と触角 が短いハエ亜目に分かれます。
ハエ亜目は，更に，一般的にアブと呼ばれる直 縫群とハエと呼ばれる環縫群に分かれます。
両者の違いの一つは，成虫が羽化 するときのサナギの割れ方です。
ハナアブや幼虫には害はあるの？
ハナアブの成虫が花から蜜を吸う様子はしばしばミツバチと誤認されますが、これらの昆虫は人間を刺すことはありません。
一方で、オオナガウジと呼ばれる幼虫は時として不快感を与える存在とみなされがちです。
それでも、成虫は花粉を運ぶことで花の受粉に貢献するなど、環境にとって有益な役割を果たしています。
しかし、食品を取り扱う場所に侵入すると衛生上の問題を引き起こす可能性があるため、警戒が必要です。
分布と発生場所
日本全国に、一般的なハナアブやオオハナアブが広く分布しています。
これらの成虫はしばしばハチと間違えられ、特に人が散歩している際に周りを飛び回ると、恐怖や不快感を感じる原因になっています。
また、彼らは花に群がる習性があり、レジャー施設など人が多く集まる場所でハチと誤認され、騒動のもととなることも少なくありません。
いきなり飛んできたら、とっさの判断ができずに騒動のもとになることは想像できますね。
ハナアブの食べ物
１） 成虫の食べ物
・花の蜜や花粉
・樹液
２） 幼虫の食べ物
・草食
草の葉肉や茎、根
スイセンなどの球根
キノコ
・肉食（捕食性）
アブラムシ、カイガラムシ
ガやハムシ（甲虫）の幼虫
・腐蝕
樹木の枯れた幹やウロの内部、樹皮下
腐った草や木の根など
動物の糞
ハチやアリの食べ残し・死体など（巣の内部に共生）
成虫が花の蜜や花粉、樹液を食するのに対し、幼虫は雑食なことがわかりますね。
ハナアブ幼虫のまとめ
ハナアブの幼虫であるオオナガウジは不快感を与えることがありますが、ハナアブの成虫は人を刺すことはなく、花粉の運搬を通じて花の受粉を助ける重要な存在だということがわかりました。